カジノを含む統合型リゾートIRの区域整備計画の認定に関する意見書 2023年4月14日
カジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画の認定に関する意見書を掲載しました。
カジノよりギャンブル依存症対策の拡充が先です。
【意見書 pdf】
内閣総理大臣 岸田文雄 様
ギャンブル等依存症対策推進本部 本部長(内閣官房長官) 松野 博一 様
ギャンブル等依存症対策推進大臣 若宮 賢治 様
国土交通大臣 斉藤 鉄夫 様
カジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画の認定に関する意見書
本日 2023 年 4 月 14 日に、国土交通大臣により大阪府・市が提出したカジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画の認定申請が正式に認められましたが、私たちギャンブル依存症の当事者及びその家族達による支援団体はその決定に大きな懸念を抱いております。
2018 年 7 月 6 日に「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立し、同年 7 月 20 日には「IR 実施法」が成立致しました。これらの法案によって、ギャンブル依存症対策の拡充が叫ばれて参りましたが、実際には遅々として進んでおりません。
それどころかコロナ禍により、スマートフォン 1 台で簡単に投票できてしまう公営競技や、違法でありながら野放し状態のオンラインカジノにはまってしまい、ギャンブル依存症に罹患した若者達からの相談は急増しています。このままではギャンブル依存症者の若年化は進む一方です。
(上記の2つの表を参照ください。いずれも当会実施の家族相談会参加者アンケートより)
大阪府・市では、カジノの依存症対策として週 3 日、月に 10 日までと掲げていますが、カジノに入場できる日数が上限に達したとしても、いくらでもオンラインカジノでギャンブルを続けることができてしまいます。
現在オンラインカジノは「無料版」であることを建前にテレビ CM まで流されていますが、それに対し「オンラインカジノで賭けることは違法である」との警告は、わずかに警察庁と消費者庁が協働で作成されたホームページとポスターがあるばかりです。まずは、日本国内では違法であるオンラインカジノ対策を手がけることが先決です。
また喫緊の課題としては、ギャンブル依存症者による犯罪化対策があります。
例えば、ギャンブル依存症者は借金がかさむと、違法と分かっていてもヤミ金に借り入れをしてしまいます。ヤミ金の脅迫は当事者・家族だけでなく、当事者や家族の勤務先、友人・知人、時には全く関係のない近隣の会社にまで及びます。たまらず警察に相談に行っても、殆どのケースで捜査すらなされず「警察では何もできない」と追い返されています。こうしてなすすべがなく返済が滞ると、ヤミ金業者の中には振り込め詐欺の受け子や出し子として犯罪の片棒を担がせることもあります。
借金問題から闇バイトや、窃盗、横領、詐欺、時には強盗といった犯罪に手を染めてしまったケースは、当会の家族相談会参加者に実施した 2022 年のアンケート調査では実に 17.7%にも及びます。
このようにギャンブル依存症問題は、若年化や犯罪化が進み問題が深刻化しているにもかかわらず2022 年度にはアルコール・薬物・ギャンブルを含めた厚労省依存症対策予算は 9.5 億円であったものが、 2023 年度では 8.4 億円と、もともと少ない予算がさらに削られています。
このような現状を鑑みカジノの認定は時期尚早であり、ギャンブル等依存症対策の拡充が先であると強く訴えます。
公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会 代表 田中 紀子
特定非営利活動法人 全国ギャンブル依存症家族の会 代表 大澤 妙子
2023年4月14日